大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和34年(ワ)117号 判決 1965年3月08日

原告 橋本孫治郎

被告 株式会社大阪相互銀行

主文

原被告間の昭和三〇年一月二四日付金銭貸借契約証書による元本を一八六、〇〇〇円弁済期昭和三一年一二月三一日利息日歩二銭五厘とする原告の被告に対する債務の存在しないことを確認する。

被告は原告に対し昭和三〇年一月二四日京都地方法務局下京出張所受付第四〇六号を以てなされた原告所有別紙目録<省略>記載物件に対する債権額一八六、〇〇〇円弁済期昭和三一年一二月三一日債務者原告抵当権者被告なる抵当権設定登記の抹消登記手続をなせ。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、主文同旨の判決を求め、その請求原因として、

「一、被告銀行は昭和二六年一二月二二日京都支店開設に当り、無尽契約を多数締結し業務を拡張するため、原告に対し協力を求め、協議の結果、無尽一組(四〇口)の加入者を揃えるには日時を要するし、又加入者が揃つた上で始めて、月一口を落札するのでは多額を一時に金融できないから、後に記載する方法で落札口多数を作つておき融資を必要とする者が現われるときはその者に、それ迄の落札口を一括して給付することとし、その方法として

(一)  原告が、数人の名義を借りて、四〇口全部の加入者を作り毎月の払込や落札は全部原告が之をなす

(二)  融資を必要とする者があれば被告銀行の貸付条件である保証人やその他の担保の提供をうけて、落札給付金請求権を譲渡し被告銀行に引継ぎ被告銀行は規定の給付金から原告の支払いに掛込金とその時迄の利息を原告に返還し残金を譲受人に渡し譲受人は毎月掛戻す。

(三)  譲受人がないときは被告銀行は原告の支払つた掛金に利息を付して原告に返還する。

ことを約した。

二、右の約定により成立した無尽契約は一口を金五〇、〇〇〇円四〇口を以て一組とし、三六ケ月払一口の掛金は掛込金月一、三四〇円掛戻金月一、七九〇円一組の掛込金合計五三、六〇〇円、そのうち、毎月一口の落札金四八、三五〇円を控除した残金五、二五〇円が被告銀行の利益となるところ、前記約定に従つて之が運用は原告に於て規定の掛込金払戻金を現実に支払うことなく、又落札給付金も受領することもなく、各組における掛込金の和、乃至掛込金と掛戻金の和より給付金の差額を毎月原告は被告銀行に交付しておき、落札給付金譲受人が揃い、被告銀行の貸付条件である担保物件の提供があれば被告銀行に引継ぎここに無尽の本契約が成立し、被告銀行は原告に対し原告が被告銀行に対し交付した右差額とその時迄の銀行利息を支払うこととなる。

そして原告は、右の如き、無尽を七組二八〇口構成し、内一組は一回掛のみで解約消滅し、残六組(第二、第三、第五、第六、第七、第一二各組)が継続し、原告の斡旋により落札給付金譲受人が揃い被告銀行に引継いだのは第三、第七、第一二の三組で第二、第五、第六の三組は落札給付金の譲受人が揃わないままとなつた。右引継未了分について原告が被告銀行に前記計算方法で支払つた金額は、次の通りである。

(一)  第二組は四〇口共一一回迄掛込を終り、帳簿計算上合計五五六、二五〇円の払込をなし内一〇口の落札給付金四八三、五〇〇円が存するから之を控除した、七二、七五〇円が現実に原告が交付した金額である。

(二)  第五組は四〇口共一二回迄払込を終り、帳簿計算では合計六七二、九〇〇円を被告銀行に交付し内一二口の落札給付金五八〇、二〇〇円が存するから、之を控除した九二、七〇〇円が現実に原告が交付した金額であり、

(三)  第六組は、四〇口共六回迄払込を終り合計三二八、三五〇円と被告銀行に交付し内六口の落札給付金二九〇、一〇〇円が存するから之を控除した三八、二五〇円が現実に被告銀行に交付した金額であり、

右(一)(二)(三)の合計二〇三、七〇〇円は、被告銀行より約旨に従つて原告が返還を受くべきものである。

三、然るに、被告銀行京都支店長都沢叢松は、右各組の計算は帳簿上、落札が終つたものとして計算する必要があり、帳簿上利息一八六、〇〇〇円を貸付金として計上することを要するから、之が貸金証書を作成せねば原告に返還すべき金員の清算が出来ないと称し手形貸付を証書貸付にするとして、昭和三〇年一月二四日付で元本一八六、〇〇〇円弁済期昭和三一年一二月三一日利息日歩二銭五厘とする金銭貸借契約証書に調印せしめ同日付で原告所有別紙目録記載物件に対し主文掲記の抵当権設定登記をなしたが、原告はかかる手形貸付を受けた事実とてなく、右債務は存在しないと云うほかはない。

四、仮りに、右証書貸付による債務が存在するとしても原告は被告銀行に対し前記交付金返還請求権を有し、仮りに前記無尽契約が通謀虚偽表示であるとしても同額の不当利得返還請求権を有するから、昭和三〇年一月二四日前記契約証書作成の際相殺の意思表示をなした。その自動債権受動債権を昭和三一年一二月末日付を以て計算すれば、原告の債権元金二〇三、七〇〇円(弁済期は掛込中止の翌月である昭和二八年六月一日)右に対する弁済期あり、被告銀行の右貸付金の弁済期迄年五分の割合による利息三六、四九六円計二四〇、一九六円、被告の債権元金一八六、〇〇〇円右に対する日歩二銭五厘の利息三三、九四五円、計二二九、九四五円となる。

従つて原告の被告銀行に対する右債務は消滅に帰したものである。

五、仍て被告銀行に対し主文掲記の債務の不存在の確認を求めると共に、主文掲記の抵当権設定登記の抹消登記手続を求める。」

と述べ

被告銀行の答弁に対し

「一、訴外橋本藤三郎に対する貸金が原告に対する被告銀行の原告に対する昭和二九年一二月二〇日以前の債権二〇〇、〇〇〇円に充当された事実はない。訴外藤三郎の被告銀行からの借入金は、原告が本件不動産を担保とする訴外西村卯之助よりの借入金二〇〇、〇〇〇円の弁済ができず担保物件を喪失する虞があつたためその弁済資金を作るべく、訴外藤三郎が被告銀行より二〇〇、〇〇〇円を借受け西村に弁済したものである。

二、前記無尽契約が被告主張の約款通りとすればその計算関係が被告主張の通りとなることは認める。」

と述べた。

証拠<省略>

被告訴訟代理人は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、答弁として、

「一、(一) 原告は昭和二七年頃から被告銀行より手形貸付を受けており昭和二九年一二月二〇日に手形書換をなしたが、その時原告は被告銀行に対し次の二の債務が存した。

(1)  金二〇〇、〇〇〇円弁済期昭和三〇年二月一四日利息日歩二銭五厘

(2)  金一八六、〇〇〇円弁済期利息(1) の債務と同一

(二)  右の各債務については当初、被告銀行は担保を徴していなかつたので、被告銀行は行員住沢綱蔵をして担保を求めしめた結果

(1)の債務については新に被告銀行が原告の弟訴外橋本藤三郎に、金二〇〇、〇〇〇円の証書貸付をなし、藤三郎はこの借入金を以て、原告の(1) の債務を弁済するが藤三郎の右債務の担保として原告は物上保証人として被告銀行のため、別紙目録不動産に順位一番の抵当権を設定する。

(2)の債務については新に被告銀行が原告に対し金一八六、〇〇〇円の証書貸付をなし原告はこの借入金を以て原告(2) の債務に充当する。原告はこの借入金債務の担保として、前記不動産に順位二番の抵当権を設定することとなつた。

(三)  仍て被告銀行は、昭和三〇年一月二四日順位一番二番の抵当権設定登記をなし、訴外藤三郎に二〇〇、〇〇〇円原告に原告主張証書により一八六、〇〇〇円を貸付けたところ訴外藤三郎は右債務を完済したが原告は現在に至る迄弁済しないものである。

二、原告主張無尽契約について

(一)  被告銀行に対し一口五〇、〇〇〇円四〇口を一組として三六ケ月払掛込金一口月一、三四〇円掛戻金一口月一、七九〇円、一口の落札金四八、三五〇円とする第二、第三、第五、第六、第七、第一二組の無尽契約が締結された事実は認める。しかし之等無尽契約については原告は契約の勧誘斡旋をし或は自ら契約の加入者となつているものであり、掛込金掛戻金落札給付金の支払は現実になされたものである。そして第二、第五、第六組の掛込金、掛戻金、落札給付金の各合計額の計算関係が原告主張の通りであることは認める。

(二)  ところで右第二、第五、第六組は孰れも原告が原告名義或は第三者名義を以て、無尽契約に加入しあり

(1)  第二組は初回昭和二六年一二月二五日満期同二九年一二月二五日であるところ、給付済一〇口(内原告名義給付済六口、未給付九口)四〇口共一〇回迄掛込をし一一回より三六回迄掛込をしないから被告銀行は、昭和二九年八月三〇日未給付三〇口の解約をなし一口解約手数料一、〇〇〇円を控除した掛込金を以て同日給付口の掛戻金の債務に充当した。その計算関係は次の通りである。

1,790円×26×10 = 465,400円(給付口10口の掛戻金債務)(A)

1,340円×10×30 = 402,000円(未給付口30口の掛込金)(B)

1,000円×30   = 30,000円(解約手数料)(C)

A-(B-C) = 93,400円(40口全体についての不足分)

内原告名義分

1,790円×26×6 = 279,240円(a)

1,340円×10×9 = 120,000円(b)

1,000円×9   =  9,000円(c)

a-(b-c) = 167,640円

(2)  第五組は初回昭和二七年四月二五日満期同三〇年四月二五日であるところ、給付済一二口、未給付二八口(内原告名義給付済一二口未給付一七口)であり四〇口とも一二回迄掛込をし一三回より三六回迄の掛込をしない。

よつて被告銀行は昭和二九年一〇月一六日未給付口二八口の解約をなし解約手数料一口につき一、〇〇〇円を控除した掛込金を以て同日給付口の掛戻金の債務に充当した。

その計算は次の通りである。

1,790円×24×12 = 515,520円(給付口12口の掛戻金債務)(A)

1,340円×12×28 = 450,240円(未給付口28口の掛込金)(B)

1,000円×28   = 28,000円(解約手数料)(C)

A-(B-C) = 93,280円(40口全体についての不足分)

内原告名義分

1,790円×24×12 = 515,520円(a)

1,340円×12×17 = 273,360円(b)

1,000円×17   = 17,000円(c)

a-(b-c) = 259,160円

(3)  第六組は初回昭和二七年四月二五日満期同三〇年四月二五日であるところ給付済六口未給付口三四口(原告名義給付済一口未給付口四口)であり四〇口とも六回迄掛込をなし七回より三六回迄の掛込をしないので被告銀行は昭和二九年一一月一七日未給付口三四口の解約をなし一口の解約手数料九四五円を控除した掛込金を以て同日給付口の掛戻金債務に充当した。その計算関係は次の通りである。

1,790円×34×6 = 365,160円(給付口6口の掛戻債務)(A)

1,340円×6×34 = 273,360円(給付口34口の掛込金)(B)

945円×34  = 32,130円(解約手数料)(C)

A-(B-C) = 123,930円(40口全体についての不足分)

内原告名義分

1,790円×34×1 = 60,860円(a)

1,340円×6×4 = 32,160円(b)

945円×4    =  3,780円(c)

a-(b-c) = 32,480円

従つて右計算上明な如く、原告は被告銀行に対し反対債権など有するものではない。」と答えた。

証拠<省略>

理由

一、原告主張の金銭貸借契約証書上の債務の存否について

昭和三〇年一月二四日付で原告は原告を債務者被告銀行を債権者とする元本一八六、〇〇〇円、弁済期昭和三一年一二月三一日利息日歩二銭五厘とする金銭貸借契約証書に署名捺印したことは当事者間に争がなく、成立に争のない乙第二二号証の一、二乙第二三号証の三と証人都沢正の証言により成立の真正を認め得る乙第二一号証の二と証人都沢正の証言によると、右元本一八六、〇〇〇円は手形貸付元帳上、昭和二九年五月一五日手形貸付による元本一五四、〇〇〇円に利息が加算され、同二九年六月一五日一五七、〇〇〇円となり、更に利息が加算され同年一二月二〇日一八六、〇〇〇円として計上されたものであること、右を元本として、昭和三〇年一月二四日付で証書貸付となつたことが認められる。

原告は右手形貸付による債務は現実に存在するものでなく前記金銭貸借証書は、後記無尽契約上、被告銀行として帳簿上の操作として必要であり後刻右無尽に関連する被告銀行より原告に対する返還金については清算するからとのことで作成されたに過ぎないと主張するが、右一八六、〇〇〇円乃至昭和三九年五月一五日手形貸付による一五四、〇〇〇円が右無尽契約の帳簿上の処理と関連するものであると認め得る計数上の証拠なく、右主張に副う原告本人尋問の結果(第一回)を以てしてはたやすく右原告主張事実を認めることはできないし他に之を認めるに足りる証拠はない。

してみれば原告は被告に対し昭和二九年五月一五日手形貸付による一五四、〇〇〇円に利息が加算され昭和三〇年一月二四日現在元本一八六、〇〇〇円の債務を被告銀行に対し負担していたものと認めざるを得ない。

二、原告主張の無尽契約に基く原告の被告銀行に対する債権について、

(一)  成立に争のない乙第一二号証乃至第一七号証の各一、二と証人早川計一、同田辺修一郎の証言と証人都沢叢松の証言の一部と原告本人尋問の結果(第一、第二、第三回但し後記認定に牴触する部分を除く)を綜合すると、被告銀行京都支店は無尽契約を多数締結し業績を向上させるため、原告被告銀行間に原告は一口、五〇、〇〇〇円四〇口一組三六ケ月払、掛込金一口月一、三四〇円掛戻金一口月一、七九〇円一口の落札金四八、三五〇円とする無尽契約の申込を原告名義或は第三者名義を以てなし、原告に於て第一回は掛込金の合計額と落札給付金の差額を、第二回以降は各回とも掛込金と掛戻金の合計額と落札給付金の差額を被告銀行に給付し落札金は之を受領しないでおき、原告の勧誘斡旋により資金が必要である者があれば右落札給付金の請求権を原告よりその者に譲渡し、一組全部の譲受人が揃うと被告銀行に対し所定の担保を差入れさせ、以後譲受人に於て掛戻金を払込むこととし、原告は被告銀行に対し支払つた前記差額金と譲渡迄の日歩二銭五厘の利息をば譲受人の受ける落札金より控除し被告銀行を介し受領することを約したこと、かくして原告は、第二、第三、第五、第六、第七第一二組の六組の無尽契約の申込をなし内第三、第七、第一二組は全部落札給付金請求権の譲渡を了したが、第二、第五、第六組については譲受人なく前記差額金の払込も中絶したままとなつたことが認められる。右認定に牴触する証人都沢叢松の証言は措信しない。右認定の事実からすれば、原告と被告銀行間の契約は落札給付金請求権を譲受けた者と被告銀行間の無尽契約と離れた無尽契約の斡旋に伴う別個の契約ではなくして、落札給付金請求権の譲受人がある迄原告被告銀行との間に特殊な掛込を定めた無尽契約と解するのが相当である。

(二)  ところで営業金銭無尽は一定数の加入者を以て一組とし、加入者から掛込金を定期的に払込ましめ一口毎に抽籤入札その他類似の方法により掛金者中より取当者を定め、之に対し所定の給付金額に相当する金銭の給付をなすべき旨の合意のなされることが必要である。而も之等の要素は独特の相互金融制度としての無尽における加入者全体の利益保護のため不可欠の本質的要素であつて之等の要素の何れかを欠く契約は無尽契約としての効力を有しないのを原則とするものと解するのが相当である。

そして前認定事実によれば被告銀行に於て無尽益金は確保されているものの落札給付金請求権の譲受人がある迄の原被告間の無尽契約は加入者をして約款に従つて掛込金を払込ましめることなくして之を払込ましめたると同一の権利を取得させるものであるから右請求権を譲渡し譲受人に於て掛込掛戻しをなした第三、第七第一二組については暫く措くとして前示無尽の本質に鑑みても無効と云わざるを得ない。

之を取締規定の面から云つても営業金銭無尽を規整する相互銀行法第三条同法施行規則第三条によれば相互銀行は営業の免許を受けるに際し業務の種類及び方法として各種契約の給付金掛金の計算掛金の取立払込の方法を記載した書面を大蔵大臣に提出することを要求され、同法第一〇条には同一人に対する給付の制限については受入れた金額が、又同法第一二条には無尽契約に基く給付金の総額について受入れた掛金の総額を、孰れも算定上の要素としていることを考えると前認定の払込の方法の如きは、右取締法規に違背し無効と認めるのが相当である。

(三)  してみればその余の点について判断する迄もなく、原告の出捐の原因である契約は無効であり而もその無効原因は取締法規に違反するに、過ぎないから、被告銀行は、原告が払込んだ前記差額金について不当利得として、返還の責に任ずべきところ、前記第二、第五第六組についての掛込金掛戻金の合計額と落札給付金の合計額の計算関係が原告主張のものであることは当事者間に争がないから原告の払込んだ前記差額金は第二組については七二、七五〇円第五組については九二、七〇〇円第六組については三八、二五〇円合計二〇三、七〇〇円であることが認められる。従つて被告銀行の原告に対し返還すべき金員は二〇三、七〇〇円となる。

三、相殺について

原告本人尋問(第一第二回)の結果によれば、原告は昭和三〇年一月二四日前記金銭貸借契約証書作成に際し右貸付金の存在を争い、一方右払込金の清算を求めていることが認められる。右認定に反する証人都沢叢松の証言は措信し難い。

右の意思表示は相手方の請求に対し債務の存在を争い、債務が存在するとすれば清算を求めるものと解せられるところ、相殺の意思表示は自動債権受動債権の発生原因の証明数額を明示する必要なく且、債務があるとすれば清算を求めるとは、相殺の要件があれば相殺を求める意と解せられるから昭和三〇年一月二四日の右意思表示は相殺の意思表示として、有効なものと認めるのが相当である。

そして受動債権については原告は期限の利益を抛棄したものと認められ右期限の利益は債務者たる原告についてのみ存すものと推定されるから受動債権額は一、で認定した貸付金元本一八六、〇〇〇円であり、右相殺の意思表示により受動債権は、昭和三〇年一月二四日を以て消滅したこととなり従つて右債務の存在を前提とする主文掲記の抵当権設定登記は登記原因を欠くものと云わざるを得ない。

四、仍て、主文記載の金銭貸借公正証書に基く原告の債務一八六、〇〇〇円の不存在確認並びに主文掲記の抵当権設定登記の抹消登記手続を求める原告の本訴請求は正当として之を認容し訴訟費用負担については民事訴訟法第八九条を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 松浦豊久)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例